雲二〇二六年五月十二日(火)中原中也山の上には雲が流れてゐた あの山の上で、お弁当を食つたこともある…… 女の子なぞといふものは 由来桜の花弁(はなびら)のやうに、 欣(よろこ)んで散りゆくものだ 近い過去も遠いい過去もおんなじこつた 近い過去はあんまりまざまざ顕現するし 遠いい過去はあんまりもう手が届かない 山の上に寝て、空をみるのも 此処にゐて、あの山をみるのも 所詮は同じ、動くな動くな あゝ、枯草を背に敷いて やんわりぬくもつてゐることは 空の青が、少しく冷たくみえることは 煙草を喫ふなぞといふことは 世界的幸福である